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格安で衛星通信環境を!Garmin InReach Exproler+で電波のない場所での安心を手に入れる

海外ではだいぶ前から発売されている InReach Explore+ ですが、ついに日本でも発売になりました。カナダは圏外の山域が多いため、緊急連絡用を兼ねて InReach Explorer+ を今年の2月に購入しましたが、当時は日本では未発売のため、どきどきしながら購入しました。

何ができるのか、どのように使えるのか、正直ホームページだけでは分からないところが多すぎるため、私が気になっていたポイントを中心に紹介したいと思います。

InReach Explore+ って何?何ができるの?

Garmin が販売する衛星通信可能なハンドヘルド GPS 端末です。GPS を使用した地図用端末に衛星を使用した下記の通信ができる物と考えるとわかりやすいと思います。SOS の受付というのがただの携帯等とは特に違うところですね。

  • 専用センターでの SOS 受付(救助要請)
  • SMS/E-mail 等を通じた文字でのコミュニケーション(英数半角160文字)
  • 自分の現在地の共有(Facebook/Twitter等での共有も可能)
  • 現在地の天気の取得

逆に下記のようなことはできないので注意が必要です。

  • 通話
  • 写真等の送付
  • ブラウジング(いわゆるホームページ等の閲覧)
  • 通常の E-mail 等の取得(POP/IMAP)

要は、通話を含め、特定の通信方法以外の通信はできないと考えると良いかと思います。Inreach 端末同士のみ専用のメールアドレス宛のやり取りになりますが、基本的にはメールアドレスや電話番号を持つわけではなく、あくまでも専用ウェブサイトを通じた通信になります。そのため、表面的な電話番号が存在しないという意味でも一般的な衛星携帯電話とも大きく異なります。

大きさと同梱物

小型の GPS 端末である Garmin Etrex20 と比較してみました。

同梱物は MicroUSB-USB-Aケーブルとカラビナ、取扱説明書のみとシンプルです。

約1.5-2倍ほど長いです。画面の大きさは大して変わりません。

InReach Explorer+側はカラビナ未取り付けの状態です。電池は基本的に取り外せない仕組みです。

厚みはほぼ変わりません。全体的な形状も似ています。

真横からみても厚みはほぼ同じ。

しつこいですが厚みはほぼ変わりません。

オレンジの盛り上がっている部分にスライドさせるようにカラビナを取り付けられます。カチッとしっかりとはまります。

カラビナはそれなりにしっかりしているため、ザック等に取り付けても落ちるようなことはなさそうです。

底面のカバーを外すと充電用の端子があります。Micro USB です。

起動時のホーム画面です。この画面を起点として地図やメッセージ作成・閲覧等を選択します。

街中ですが、地図画面です。中央の矢印が現在の位置と方向を示しています。

文字サイズはデフォルトではこのサイズです。

使用可能エリア

全世界で使用可能です。ただし、衛星通信の性質上、原則として屋外での通信が必要となります。使用感からすると、テント程度であればまったく問題なく、木造住宅程度だと通信しづらい、という程度です。

料金

衛星通信を使用するためには専用の契約が必要になります。衛星通信契約がない場合でも GPS 端末としての使用は可能です。そのため、携帯の電波が入らないところに行く時だけ契約して緊急時に備え、他の時期はただの GPS 端末として使用する、といった使用方法も可能です。

月額プラン(自由契約)と年額プラン(年間契約)

プランは使用できるメッセージの量等に応じて 4種類用意されており、それぞれ、1ヶ月単位の契約と1年単位の契約が可能です。ホームページでは年間契約と自由契約と表現されています。自由契約だと何が自由か分かりづらいので以下では自由契約を月額プラン、年間契約を年額プランと呼ぶことにします。

ガーミンのホームページに掲載されているプランです。ちなみに、日本はUSD扱いでの取引ですが、USDのプランが最安です。ヨーロッパやオーストラリアなどは20-30%ほど料金が高く設定されています。

プリセットメッセージ(固定メッセージ)は無制限で使用可能であるため、自由なコミュニケーションを頻繁にしたいと思わない限り、基本的には一番安いセーフティプランで問題ないと思います。通常の登山等の場合、「これから出発します」「山頂に到着しました」「少し遅くなりそうです」といった決まった情報だけを送ることができれば十分なことがほとんどであるかと思います。これらは、プリセットメッセージとして登録しておけば無制限で使用できるため、「予定よりも30分遅れそうです」といった、特殊な状況のときだけ、月10回分のテキストメッセージを使用することになります。

トラッキングについては無制限というのが魅力的に見えるかもしれませんが、あくまでも衛星で知らせることのできるトラッキングのため、10分ごとに正確な場所を知らせたい、といった状況ではない限り必要ありません。いわゆる GPS で取得・蓄積する位置情報とは別物です。内部的には 1分間隔等のより細かい単位で取得・蓄積されるため、後で GPS のデータを使用することは問題なく可能です。多くても1時間に1回通知しておけば十分ではないかと思います。そうすると、例えば、8時間の登山の場合、最大で 8回のトラッキング情報の通知で済むため、$0.1 x 8回 = $0.8(約100円)程度の通信費で済みます。10分に 1回にするとこの 6倍、約600円かかるため、かなり割高感が出てくるように思います。他方、不測の怪我や紛失に備えて念のため通知させておきたいというニーズであれば、4時間等のかなり長時間間隔での設定にするとかなり節約可能です。

そもそも衛星通信をしてまで場所を通知するメリットというのは、携帯電話が圏外のエリアで滑落して身動きが取れない、かつ、InReach を落としてしまったというような状況(不測の怪我で家族等の発見を待ちたい状況)や InReach を落とした(紛失の場合)ときに発見するためのいずれかしかないと思っています。そのため、頻繁に通知するメリットは存在しないと個人的には思っています。ちなみに、山頂についた記念に通知したいといったニーズについては手動で通知も可能なので、あくまでも自動でどの程度送信するか、という点のみの議論です。

月額プランは最低30日単位で、いつでも停止可能です。そのため、夏しか山に登らない(=それ以外の期間は使用しない)というような場合には月額プランが良いと思います。年間を通じて山に登る(バックカントリー等を含む)場合にはいく頻度により考えると良いでしょう。

月額プランと年額プランの損益分岐点

月額プランは、年間$24.95の費用が別途発生します。他方、年額プランには $19.95 のアクティベーション費がかかります。英語では、”activation fee” と “annual fee” と明確に区別して表現されているため、このアクティベーション費は、年額プランを継続する限りは 1回しかかからない(=2年目の更新時にはかからない)費用であると推測されます1

アクティベーション費の問題があるため、1年目と2年目以降で料金が変わりますが、1年目の場合、10ヶ月以上、2年目以降の場合、8ヶ月以上使用するときは年額プランがお得になります。

月額プランは、正確には1ヶ月間ではなく、30日間での契約となるため、8回分(通算240日分)、10回分(通算300日分)というのが実態となります。

ただ、原則として自動更新となっているため、停止する場合には都度ホームページ上での手続が必要となります。また、プラン停止中は SOS を含め、すべての衛星通信ができなくなります。

目的次第ですが、年間を通じて山に入る可能性があり、かつ、その山が圏外になる可能性があるのであれば、年額プランが良いと思っています。いちいち契約の有無を考えるのも面倒ですし、あくまでもお守りのため、常に有効である方が最悪の事態を避けられます。

他方、夏しか山はやらず、冬は近場の低山のみ(+電波は確実に入る)というのであれば月額プランが良いでしょう。

救助(SOS)は無料?

SOS のための通信は無料ですが、実際の救助は無料ではありません。ここが少しややこしいところです。

ただ、あくまでも InReach 等のデバイスを持った山行等に限定はされていますが、救助のための保険が保険会社の GEOS により安く提供されています。

費用は年間 $17.95 からと格安です。あくまでも保険対象者のみが対象となるため、友人と一緒に行って、救助を受けた場合、保険でカバーされるのは保険対象者分のみで一緒に救助される人はカバーされません。そのため、家族やグループで行く人は、家族用プランやグループプランを検討しておくと良いでしょう。

GEOS Worldwide Search and Rescue (SAR) Membership

この保険の良いところは全世界をカバーしているところだと思っています。そのため、海外で登山する予定のある人などは少なくとも救助に関しては高い保険等に加入する必要がなくなります。

いつ加入するのが得なのか?開始日と締め日はいつ?

契約は暦月単位ではないため、いつ加入しても月初でも月末でも変化はありません。年額プランの場合、20日が締め日となっており、初月は19日までの日割り計算、翌月以降は20日から翌月19日までの料金が請求されます。請求書は毎月21日に PDF が添付メールで届きます。

請求書のサンプル

毎月の請求書は、利用明細とともに PDF で届きます。

請求書の1ページ目です。先月の精算と今月分の請求についての合計額が記載されています。黒塗りの部分には名前や住所が記載されています。

請求書の2ページ目です。プランの内容と利用明細が記載されています。黒塗り部分は契約番号が記載されています。

初月分はアクティベーション費と月額分の日割りでの請求になります。

メリットとデメリット

InReach Explorer+ を実際に使ってみて、良かったところ、悪かったところを挙げてみたいと思います。購入を考えている方の参考になればと思います。

メリット

電波のないところでも連絡が取れる

国内だと電波のないところはだいぶ限定されますが、カナダの場合、カナディアンロッキーの大部分は圏外のため、連絡手段が確保されているというのは安心感がありました。日本でも沢登りやバックカントリースキーなどでは電波がないことも少なくないため、活用は可能だと思います。

ユースケースを調べてみると、海外では家族が心配しないようにキャンプ地等から連絡するために購入している人が少なくないようです。テント場などは電波が入らないところも多いため、同じようなユースケースは日本でも十分成立するように思います。

画面が大きいため、地図としてもフル活用できる

十分にみられるサイズです。手袋をしていても動かせるため、冬だと助かります。

寒いところでも問題なく動作する

-20度ぐらいであればまったく問題ありません。もちろん、防水(IPX7)です。

モバイルバッテリーで充電できる

充電は Micro USB 端子からモバイルバッテリーで可能です。山では常にモバイルバッテリーを持ち歩いているため、電池切れの心配もありません。ただ、1週間ぐらいの山行であればそもそも充電は必要ないぐらい電池の持ちは良いです。

衛星通信にしては安い

衛星電話を考えた場合、月々5,000円程度の維持費がかかってきます。それと比較すると、救助の保険込みで月2,000円程度というのは破格の安さです。

スマホとの連携が素晴らしい

この端末はスマホと連携させることができ、専用アプリ Earthmate を通じて、アメリカの地図などを無料でスマホにもダウンロードすることができます。オフラインマップとしても使用でき、GPS データをより精度の高い InReach Explorer+ から取得することもできるため、端末はザックの雨蓋に入れて、地図の確認は手元のスマホで、というのも可能です。

デメリット

大きくて重い

GPS 端末を一回り大きくしたサイズ感であるため、やはり大きいなぁ、という印象は拭えません。重さも213gあるため、それなりの重みがあります。海外では発売が開始された InReach Mini だとかなり小型になるので、少し惹かれています。

国内だと使用場面がかなり限定される

国内だとほとんどの場所で電波が入るため、使用場面はかなり限定的だと思います。

日本語が使用できない

個人的にはあまり問題を感じていませんが、表示はすべて英語です。メッセージも英数記号しか使用できないため、アルファベットになれていないとつらいかもしれません。ただ、日本で発売されたことを考えるとそのうち日本語化されるのかもしれません。

安心をお金で買いたい人にはコスパの良いマストアイテム!

私は海外の山にも行くため、完全に必須だと思っていますが、国内での目的に限定しても、アルプスなどの険しい山に入るひとや単独で登山するひとなどはセルフレスキュー目的で買うのはありだと思います。端末代はたしかに高いですが、維持費はかなり安い方だと思います。通年で山に入り、ヒヤリハットの経験がある人、グループのリーダーなどには最高のお守りになるのではないかと思います。

次回以降、実際の契約方法や保険の紹介、実際のメッセージ画面等を紹介したいと思います。


  1. 私は年額プランに加入していますが今年の 3月に加入したばかりなので来年になるまで確定しない状況です。 

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