ハーネス
ハーネスとは、クライミング等の落下の危険が伴う行動を行う際にロープを結線したり、確保器を装着したりするための装具をいう。
種類
大別して以下の2タイプが普及しており、主にフリークライミングではシットハーネスのみを使用するのが主流である。
シットハーネス
腰と足の部分のみを固定する形状のハーネスである。以下のようなパーツを持つ。
タイインループ
ロープを結線する部分である。通常はダブルフィギュアエイトノットで結線する。
ビレイループ
主に確保器を装着する部分である。セルフビレイ用にスリングを使用する場合などにガースヒッチするのに使用したり、トップロープクライミングを行う際にロープの末端にカラビナを結びつけている場合にはそのカラビナはビレイループに装着する。
レッグループ
足を通す部分である。懸垂下降時にバックアップをスリングによるプルージックに代表されるフリクションヒッチでとる場合に身体側の結線先として使用することもある。
チェストハーネス
上半身に装着するハーネスである。単独での使用も可能であるが通常はシットハーネスと併用する。
アルパインクライミング等のギアを多用するクライミングでは、チェストハーネスがギアラックも兼ねられるため、使用するケースが相対的に多いように思われる。
チェストハーネスを使用するメリット
シットハーネスのみの場合、転落時に腰部に衝撃が集中するほか、逆さ吊りとなる危険性がある。チェストハーネスを併用することでこれらの危険を軽減することができる。
関連項目
- 簡易ハーネス
ハーフロープ
クライミングにおいて、2本で使用することが前提とされるロープのことをいう。ツインロープとの相違点等の詳細についてはロープを参照。
パッシブプロテクション
クライミングにおいて、使用される中間支点の構築手段のうち、クラックの形状などの自然側の特徴に「受動的」に合わせるプロテクションをいう。代表的なものとして、ナッツが挙げられる。カムを代表とするアクティブプロテクションとの対比で使用される。
アクティブプロテクションとパッシブプロテクションを合わせてナチュラルプロテクションという。
パッシブプロテクションとしてのカムとアクティブプロテクションとしてのナッツ
カムといえばアクティブプロテクションの代表であるが、カムをメカニカルに動作させず、開いた状態で岩に引っ掛けるように使用する場合、これはパッシブプロテクションである。また、トランゴのボールナッツのように、サイズが可変なナッツもあり、形状に変化を加えてナッツとしてセットする場合、これはアクティブプロテクションと言うべきである。
ただ、アクティブかパッシブかで何が変わるわけでもなく、あくまでも概念的な整理であるため、特にこだわる必要はない。環境、重量、価格、ルート、クライミングの種類によって適切に使い分ければ良い。
ビレイヤー
ビレイヤーとは、クライミング中にクライマーをロープでビレイ(belay:確保)する人のことをいう。
クライミングジムやゲレンデなどに多い、ピッチが一回きりの場合には十分な知識と経験があれば誰が行っても良い。すなわち、ビレイヤーはクライマーである必要はない。しかしながら、マルチピッチクライミングにおいては、通常、セカンド等の後続者がビレイヤーとなるため、ビレイヤーはクライマーである必要がある。
ビレイヤーの選び方
クライマーがフォールしたときに支えられるだけの体重が必要であるため、自分の体重-15kgを基準として、それよりも重い人が望ましい。
但し、実体重がそれだけあることを要求するものではないため、10kg程度であれば重りを背負うなどの方法でも対応できる。
ビレイヤーがセルフビレイをとることで体重差の問題は解消し得るようにも思われるが、オーバーハングでのフォールやフォールの結果として気絶してしまった場合など、クライマーが自力でテンションを解除できないような場合には進退窮まる可能性があるため注意を要する。
フリーソロ
フリーソロとは、確保なしでクライミングを行うことをいう。登山中の岩場等も通常はフリーソロであるが、フリーソロという場合には通常は確保するようなフリークライミングで確保しない場合を指すのが通常である。
確保なしの状態であっても、川や海など、水が緩衝材となるような場所でのフリーソロをディープウォーターソロとも言い、日本では秋川渓谷や伊豆等で行われている。
フリーソロの動画
フリーソロに関連して有名なクライマー
- ディーン・ポッター
- アレックス・オノルド
- ジョン・バーカー
- ダン・オズマン
- 佐藤裕介