回送サービス
回送サービス(かいそうさーびす)とは、マイカーを別のところまで運転してもらうサービスである。マイカー回送ともいう。主として縦走するような場合に利用することの多いサービスである。
複数台の車で行く場合には交差縦走することにより、回送サービスとほぼ同じような効果が得られる。
メリット
- 行きも帰りもマイカーが利用できる。
- 電車・バス等で戻る元の位置に戻る必要がない。
- (多くの場合)時間の節約になる。
- 人数が多ければ電車・バス等で移動するよりも金額的なメリットがある。
デメリット
- 人数が少ない場合、金銭的に高くつく。
- 知らない人に単独の状態で車を預けることになる。
- 予約等が必要なことが多い。
回送サービスのある山域
以下のような山域で利用可能である。
- 立山連峰(立山、剱岳等)・・・扇沢、立山、宇奈月温泉
- 後立山連峰(白馬岳、五龍岳、鹿島槍ヶ岳等)・・・扇沢、大谷原、七倉、五竜、八方、栂池
- 表銀座(燕岳、槍ヶ岳、奥穂高岳等)・・・沢渡、中房、新穂高
- 裏銀座(鷲羽岳、水晶岳等)・・・七倉、新穂高
- 大雪山連峰・・・トムラウシ、石狩等柔軟に設計可能
- 富士山・・・富士宮口、御殿場口、須走口、河口湖口、吉田口
- 白馬岳・・・猿倉、栂海新道、蓮華温泉
- 雨飾山・・・雨飾高原キャンプ場、雨飾山荘
- 蔵王連峰(刈田岳、不忘山)・・・刈田峠、みやぎ蔵王白石スキー場
- 氷ノ山・・・鳥取県側、兵庫県側
サービスのない山域ではどうするのか?
回送サービスがない場合には以下のようにするのが通常である。
- 公共交通機関のみで計画する(マイカーを使用しない)。
- 電車・バス等でマイカーのところまで戻る。
- 下山口に自転車等をデポし、マイカーのところまで戻る。
ガレ場
ガレ場とは、石や岩が多く存在する登山道のことをいう。単にガレともいう。あくまでも登山道等の歩く場所に使用されるため、垂直に近いような手足を使用して登るような場所は石や岩が多く存在しているとしてもガレ場とは呼ばない。
また、ガレ場を指して「ガレている」と表現することもあるように、多様な使われ方をしている。
ザレ場との相違点
ガレは国語辞典でもみられる言葉であるが、「ザレ」については少なくとも広辞苑にはみられない。意味としては、砂礫地を指して使用されることが多いように思われるが、解説によっては「ガレ場」と「ザレ場」を同じ意味の別の呼び方として紹介していることもあり、統一的な解釈は存在していない様に思われる。
また、ガレ場とザレ場の違いは相対的な違いに留まり、絶対的な違いはない。なお、個人的には下記のような認識で使用している。
ガレ場
石や岩で構成されており、岩登り的な困難性ではなく、主として浮石等の不安定性を警戒するような場所を指す。
ガレ場は日本アルプスを中心に森林限界を超えるような山では珍しくないが、下記の動画の後半の木曽殿越への下りなどはわかりやすいガレ場である。
ザレ場
小石や砂で構成されており、主として滑ることによる転倒を警戒するような場所を指す。
ザレ場も日本アルプスなどの石や岩が多い山で多くみられるが、より幅広くみられるように思われる。下記の動画のような登山道は、砂っぽい地面に小石が多く見られ、ザレ場的な登山道である。
関連項目
- 岩場
ギア
ギアとは、クライミングや登山等で使用するカラビナ、ATCに代表される確保器やカム、ナッツ等の支点構築用具等の総称である。
ギアには何が含まれるのか?
正式な定義があるとは思えないため主観により含まれるものが変わってくると思われるが、ギアラックにかけられる物、というのは一定の説得力があるであろう。ただ、そうした場合には代表的なギアのひとつであろうATC等の多くの確保器はカラビナを通じてのみしかギアラックにかけられないため違和感があることは否めず、またカラビナを通じてかけられることを肯定すればおよそ関係なさそうなものであってもかけられてしまうため、クライミングに関連する物という限定を加えたとしても、やはり定義として適切であるとは思えない。
何れにしても定義しづらいことは明白であるため、「明日はギア一式を持ってきてね」というような雑な使い方は明確な共通認識を持っている間柄以外には使用すべきではないであろう。
逆クリップ
逆クリップ(ぎゃくくりっぷ)とは、クライミング中にロープをクリップする際に、ロープが自己側から岩側(壁側)に向かって通っている状態をいう。
逆クリップの問題点
フォールする際にロープがカラビナから外れるおそれがあるため、逆クリップは避けるべきとされている。
クイックドロー
ドッグボーンと呼ばれる短いスリングの両端にカラビナを接続したもの。ヌンチャクとも呼ばれる。
用途
主にクライミングにおいて、中間支点をとる目的で使用される。
また、簡易的なセルフビレイ目的で使用されることもある。例えば、リードクライミング中に終了点に到達した場合、ロープのかけかえを行う前にまずはクイックドローをビレイループと終了点に接続し、その後、落ち着いてメインロープでセルフビレイを取るような場合である。
アイスクライミングにおいてもビレイループにかけたクイックドローを氷壁に刺さったスクリューやアックスにかけてレストするためにも使用される。
主なメーカー
- ブラックダイヤモンド(BlackDiamond)
- ペツル(Petzl)
- DMM
- メトリウス(Metolius)
- カンプ(CAMP)
- マッドロック(MAD ROCK)
- エーデルリッド(EDELRID)
- ロックテリクス(rockteryx)
- クライミングテクノロジー(climbing technology)
- マムート(MAMMUT)
- グリベル(Grivel)
- ロックエンパイア(Rock Empire)
- シンギングロック(Singing rock)
クイックドローの自作
主にアルパインクライミングにおいて、ドッグボーン部分をロープスリングにし、カラビナ部分をロック式カラビナにした自作のクイックドローを使用することがある。これはアルパインドロー、アルパインヌンチャクとも呼ばれる。
グラウンドフォール
グラウンドフォールとは、クライミングにおいて、地面に墜落する状態をいう。死亡事故につながる重大な事故であり、常に気をつけなければならないことのひとつである。
なぜグラウンドフォールするのか?
以下のような状況になるとグラウンドフォールするおそれがある。
- フリーソロの場合
- どこにもクリップしていない場合
- 最後の中間支点を基準として、地面までの距離が現在位置までの距離まで近づいた場合
- 普通に考えると地面までの距離と同じまではグラウンドフォールしないように思えるが、ロープは衝撃を吸収するために伸びるようになっているのでその伸び分を考慮する必要がある。
- 中間支点が抜けた場合
- 懸垂下降に失敗した場合
- 懸垂下降は多用な失敗例があるため、どのようなミスをする可能性があるのか、まずは知っておくことが肝要である。
クリップ
クリップとは、確保されているクライミング中において、自己のハーネスに結びつけたロープを、中間支点となるクイックドローに通す行為のことをいう。
クライミングジムで行う場合には最終となる支点に通すときであっても同様にクリップすると表現されることが多いように思われる。
クリップの仕方
クリップはハーネスのタイインループに結びつけたエイトノットの部分を持ち、そこからロープをたぐり、クリップ可能な長さまで伸ばした後、クイックドローのカラビナにロープを通す。根元からたぐるのはZクリップという危険なミスを防ぐためである。
ロープは岩側(壁側)から自己の方向に通るようにしなければならない。これは逆クリップという危険な状態を防ぐためである。
交差縦走
交差縦走(こうさじゅうそう)とは、登山口と下山口が大きく離れている場合において、パーティを分割のうえ、それぞれ異なる登山口から登り、中間地点付近で車の鍵を交換し、各パーティは交換した車を使用する形態の縦走をいう。
前提
- 車が2台以上必要
- 落ち合うポイントを決めること
- 車を預けても問題のない人的関係性があること
一般的には山岳会やクラブなど一定以上のメンバーがいる団体が行う例が目立つ。
なぜ交差縦走をするのか?
マイカーで登山口まで行き、交差縦走をしない場合、登山口まで戻る、または回送サービスを使用して下山口まで車を運んでもらう必要がある。それにかかる費用ないし時間を節約するために使用されるのが一般的であろう。
冬季の縦走など、公共交通機関がない場合や回送サービスが使用できない場所などでは交差縦走でないと縦走が困難な場合もある。