X

来年の夏に向けて冬をどのように過ごすべきか?やはり山に登り続けるのが一番

11月も下旬になるとアルプスは完全に冬山になり、近隣のある程度高い山も白い部分が目立ってきます。「冬山はやらない」と言う人がほとんどだと思いますが、ひと冬歩かないだけで体力や筋力は大きく低下してしまいます。

今度の夏にはアルプスに登りたい、テントを担いで縦走したいというような目標を持っているようであれば、冬をどう過ごすかはとても重要です。夏に向けた冬の過ごし方について個人的なおすすめを書きたいと思います。

筋力と体力を維持するための活動を行う

やはり一番は山に登り続けることだと思います。夏に登れる山から数ランク落とすだけでだいぶ安全に登れます。具体的には、快適に登れる標高から500-1000m落とす、往復8時間ほどのルートを歩いていたなら往復5−6時間のルートぐらいがちょうど良い目安になると思います。

また、通勤や通学を可能な限り運動の時間に変えると無駄もなく鍛えられます。夏よりは汗もかかないため、仕事への影響も比較的少なめです。1日1時間も走れるとだいぶ体力が維持できました。ただ、高山用の体力はまったく維持できませんでした。高山は高山に登っていないと弱くなる一方です。

いずれにしても登山のための体力は登山でないと維持しづらいのが現実だと思います。

クライミングもおすすめ

冬山に登るとしても、夏よりは回数も少なくなりがちです。山に登る以外のトレーニングとしてはインドアのクライミングがオススメです。特に北アルプスに登りたいと思っているようであれば、クライミングを少しかじっておくだけでも安心感がだいぶ変わります。

特に難しいルートを登れる必要はなく、足で登る、力を入れすぎない、腕をなるべく伸ばす、足元をよく見るといった基礎的な動きを身に付け、また、可能であればロープを使ったクライミングで高さに慣れておくと恐怖心がだいぶ薄れてくると思います。

クライミングに慣れてくると岩稜帯での疲れ具合も変わってきます。ただでさえ標高も高く、長い山登りが続く中では、いかに力をセーブし続けられるかが重要になってきます。

数回登るだけでも違いますが、週に2-3回を数ヶ月も行えばそれなりのレベルが登れるようになってくるため、登山道で遭遇する岩場程度であればかなり安心して登れるようになると思います。

登山に役立つクライミング!ボルダリングのはじめ方

2017.11.01 2018.08.01

冬であっても人の多い山は比較的安全

冬山というだけで危険を想像するかもしれませんが、冬は比較的天気が安定しやすく、晴れる日は一日中きれいに晴れていることも珍しくありません。雪も標高や高さ、登山道の方角(北や西側は雪が多くなりがち)によっても大きく変わります。

天気が良い日に、人の多い山を歩くのはリスク的には夏山と大きくは変わらないと思います。適切な装備や予備の食料などを持っていくというようなことは夏でも同じです。唯一特に気をつけるべきとしては、日照時間が短いという点かと思います。夏よりも冬の方がヘッドランプなしで行動可能な時間は明らかに短くなります。夏歩くよりも7-8割ぐらいの時間で歩けるルートを選択すれば安心して歩けると思います。

低山であっても人の少ない山には要注意

低山は安全であることが多いですが、夏でも人が少ないような山や登山道は慣れていないうちは避けるべきです。踏み跡が少なく、歩くのも大変ですし、ルートファインディング能力も必要となります。

ただ、踏み跡がある場合でも、本当にその踏み跡を辿って良いのかは常に考え続けましょう。その訓練が踏み跡がないところで活きてきます。

人が少ないと登山口からトレースがほぼないようなところも少なくありません。

大雪の直後は避ける

少なくとも登山予定日の数日前からは行こうとしている山の天気には注意するようにしましょう。前日まで多く雪が降っているようであれば避けるのが無難です。雪が多いと踏み跡があっても足を高くあげなくてはならないところも増えますし、道を間違えた場合に取り返しがつかなくなるリスクが高まります。

慣れないうちは少なくとも大雪の直後は避け、土日のどちらかにいけるであれば日曜日を選ぶようにするとまだ比較的歩きやすいと思います。

雪が降った後は歩けそうに見えても腰まではまるようなところもしばしば。

GPS(スマホ含む)を活用する

冬は天気が安定しやすいといっても風が出てくるだけで一気に視界が悪くなります。地吹雪のようになるとまわりがまったく見えず、現在地もわからなくなります。そのようなときに地図だけあってもほぼ何の役にも立ちません。その際に活躍するのがGPSです。スマホの山と高原地図やYAMAPなどの地図アプリでも現在地は分かりますが、問題は寒さです。

風が強くなると表面的な温度はかなり下がります。地域や時期によっては-20度近くになることもあります。-20度になるとスマホはかなり落ちやすくなります。対策としてはホッカイロを貼っておくというような方法もありますが、ガーミンのGPSなどは-20度でも問題なく動作するので安全を期すようであればやはりGPSは必須だと思います。

ただ、樹林帯を歩く分にはそこまで風が強くなることもないため、スマホを体でしっかりと温めておけばまず問題ありません。ズボンのポケットが入れやすく出しやすいのですが、表面に近く温まりにくいため、インナーの胸ポケット付近がオススメです。私は寒い時はパタゴニアのR1の胸ポケットに入れるようにしています。

何れにしても電池消費は早くなるため、モバイルバッテリーなどの予備電源は必ず持っていくようにしましょう

靴は積雪期対応のものを。服は持っているものを。

靴だけは残雪期対応の靴がないと不安が残りますが、それだけあればあとは手持ちの服で何とかなると思います。汗をかいても身体が濡れないようなベースレイヤー、長袖のシャツ、フリース・ソフトシェル等の行動着が基本状態で、あとは防寒用のダウンと雨具があればほとんどのケースで問題ありません。下はタイツとズボンがあれば問題ありません。雪があると足元は地味に冷えますので短パンはやめて長ズボンを履きましょう

より本格的な雪山に入るまでは服から買い揃えるのはおすすめしません。低山を歩く限り、大体はオーバースペックです。

冬山をはじめるために本当に必要な道具を考えてみる

2017.10.19 2018.08.01

装備は工夫次第

冬山であっても、高山などの本格的な雪山を除けば、その多くは夏山の装備で兼用可能です。以下は私がどのような冬山でも必ず持って行く持ち物です。もし持っていないものがあれば、揃えておくべきだと思います。

着替え

思いのほか汗をかいてしまった場合や雪が溶けて濡れてしまった場合等に備えて、ダウンの上下、上下のインナー、靴下、インナーグローブ、アウターグローブ、バラクラバを防水のスタッフサックに入れて持っていきます。

いざビバークということになってもこれだけあるとだいたい大丈夫です。山頂でご飯を食べるときにもダウン(特に上着)は役に立ちます。

ツェルト

日帰りの場合には軽量のツェルトを持って行きます。山頂で寒い時にはこれをかぶって暖を取ることもあります。

シェル(雨具でも可)

天気が良さそうな日はソフトシェルを、天気が悪くなりそうな日やアルプスなどの高山ではハードシェルを持って行きます。持っていない場合には雨具でも問題ありませんが、保温性能は落ちるため、その分暖かいダウンなどをあわせて持って行くようにしましょう。

エマージェンシーキット

夏に持って行くものと特に変わりありません。消毒、絆創膏、目薬、包帯、各種薬のほか、ヘッドランプをふたつ入れています。

GPS+モバイルバッテリー

GPSはガーミンのUSBで充電可能なものを持って行きます。私の場合は撮影もするため、モバイルバッテリーは大きめのものを持って行きます。前記の通り、スマホでも代用は可能ですが、その場合、温度管理にはより慎重さが求められます。

小型のストーブ

冬の場合、ストーブは必需品です。110サイズの小型のガス缶か固形燃料のいずれかを持ち歩いています。調理用ではなく、いざという時に水を作るためです。

ちなみに、冬山の場合、山頂でコンビニの冷凍鍋焼きうどんなどを調理するのもおすすめです。その場合は通常のサイズのストーブを持って行っています。溶けることもなく山頂まで持ち運べます。山頂であたたかい汁物を食べる瞬間は至福です。

おやつと予備の食料

ソイジョイなどのエナジーバーを5-6本、おかし・カップスープ等適量、リフィルタイプのカップ麺を1つ程度は持って行くようにしています。これだけあると1日か2日ビパークになってもまったく問題ありません。

ストック

夏はストックを使用しない人であっても冬は必ず持って行くべきだと思います。雪が深い場合や凍結している場合でも、転倒を防ぎやすく、雪で見えないところを探るのにも使用できます。また、地味に使う場面が枝に積もった雪を落とす様な場面です。少し遠くからはたけるため、濡れることなく安全に雪が落とせます。

車がないと厳しい

唯一悩ましいのが、冬の場合、交通のアクセスが著しく悪くなるという点だと思います。バスや電車で登山する人は行ける山がだいぶ限られてくると思います。関東であれば秩父や奥多摩あたりは冬でも電車でアクセスしやすくオススメです。

Comments are closed.