「百名山」という言葉を聞いたことはありますか?登山者の多くが知っており、そして多くの、特に年配の登山者が完登を目指しているのが、日本百名山です。しばしば、百名山だけを目指すスタイルがまるでスタンプラリーをしているかのようで、山頂に立つことだけを至上目的とし、登山の過程や自然を楽しまないスタイルが批判されることもあります。
ただ、何はともあれ、登山を計画する場合にまずは百名山から考えるというのは個人的には悪くない考え方だと思います。
目次
「百名山」とは?
百名山という場合、作家であり、登山家でもあった深田久弥(1901-1973)の著作『日本百名山』を指すケースがほとんどです。1964年に書かれた本ですが、あらゆる世代から愛され続けています。
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色々な「百名山」がある
日本百名山をお手本として、様々な百名山が他の作家や所々の団体により作られています。下記が代表的な百名山です。
花の百名山
田中澄江の著作『花の百名山』に掲載されている花が美しい百の山です。1980年に発表され、第32回読売文学賞(随筆・紀行賞)を受賞しています。
花が好きな人には百名山よりもオススメです。
新・花の百名山
同じく田中澄江の著作『新・花の百名山』に掲載されている花が美しい百の山です。1995年に再選定されたものです。花の百名山との重複は23座のみのため、より多くの山にスポットがあたっています。
新日本百名山
登山家の岩崎元郎が『決定版 岩崎元郎の新日本百名山登山ガイド』で選定した中高年が登りやすいという点が加味された百の山です。2006年に発表され、日本百名山からは52座選出されています。
日本二百名山・日本三百名山
日本三百名山は、1978年に日本山岳会が日本百名山に200座を追加して発表したもので、日本二百名山は、1984年に深田クラブという深田久弥のファンクラブのような組織が、日本百名山に三百名山から99座+荒沢岳を追加したものです。
そのため、それぞれ100という数からは外れますが、それぞれ日本百名山と日本二百名山を除外して固有の数を考えるとほぼ100という数字になります。
これらも日本百名山を完登してしまった人の次の目標として使用されることが多いように思います。三百名山になるとそれなりにマニアックなところが増えてくることもあり、山頂で会うと「三百名山を目指しているんですか?」というような会話もままあります。
一等三角点百名山
一等三角点研究会が『一等三角点百名山』において、一等三角点のある山のうち、風格のある山容、優れた眺望、高い知名度、さらに概ね標高1,000m以上で登りがいのある山という基準で選定された百の山です。1998年に山と渓谷社より出版され、日本百名山からは48座選出されています。
その他地域の百名山
各県や地域で百名山を作っているところもあります。地域の新聞社が発表しているケースが多く、自治体としても観光の目玉にしやすいため、積極的に作られている傾向があるように思います。
独自の山頂碑があることも少なくないため、結果として複数の山頂碑があることもあります。
「百名山」にはどのような山が選ばれているのか?
深田久弥の『日本百名山』によると、以下のような基準で選出されたようです。
- その山が品格・歴史・個性を兼ね備えていること
- 原則として標高が1,500m以上であること
日本百名山は日本全国を対象としていますが、多くの山が東日本から選出されています。これは主として、東日本に標高の高い山が多いためだと思われます。
「百名山」が一番多くあつまる都道府県は?
1位:長野県(30座、主として北アルプス・中央アルプス・南アルプス)
2位:山梨県(12座。主として南アルプス)
3位:群馬県(11座)
なお、複数の県にまたがっている山についてはそれぞれの県でカウントをしています。長野県は山梨県と群馬県と両方に接しているため、日本百名山の多くがこの付近に集中していることが分かります。
メリット・デメリット
百名山についての個人的な印象です。
メリット
* 景色が素晴らしい
* 登山道の状態が良い
* 登山口への公共交通機関へのアクセスが良い
* シーズン中は売店や山小屋が開いている
デメリット
* 特にハイシーズンは混み合う
* もはやただの観光地
ただ、何はともあれ、私が今まで歩いてきた百名山はほぼすべて素晴らしい山だったので、個人的には百名山を登山するのは好きです。