- 日程
- 2015年1月上旬(2泊3日・ビパーク/高塚小屋)
- 天気
- 曇り
- コースタイム
- 6時間 50分(9.0km)
- 実測タイム
- 5時間 8分
- タイム乖離率
- 90%
- 装備
- 厳冬期フル装備(80L・25kg)
- 交通手段
- 公共バス
深夜に風はますます強くなり、テントにたびたび頭を叩かれた。うとうとしているとにわかに明るくなってきたので、撤収しながら美しい朝焼けに見惚れ、流れる速い雲を見上げながら今日こそ良い天気を、と祈った。雨や雪は降っていないものの、相変わらず風が強い。夜に気温が下がり、登山道は凍結していたため、歩き始めてすぐにアイゼンをつけることとなった。
目次
投石岩屋から翁岳水場へ
水の通り道であるのか、凍結が一番怖いエリアだった。ところどころ急な岩場が出てくるため、アイゼンをしっかりと岩にかけ、慎重に登った。氷は意外にもしっかりしていたため、アイゼンがあるとちょうど歩きやすい。岩場自体はそこまで長くないため特段つらくはない。このあたりからは少し変わった山や岩が見られるので楽しく登れた。視界は完全ではないものの、近くの山頂を見る程度には晴れていたため、度々振り返りながら歩いた。
朝焼けの空と速く流れる雲が刻一刻と景色を変えていくのが見ていてとても楽しかったので、このあたりはかなりゆっくり登った。
そのまま歩き続け、無駄に入り組んでいるように見える木道までくると水場はもう近い。なぜこのような木道になったのか興味深い。水場は幸いにも生きていたため補充をする。冬に自分で水を作らなくて良いのは非常に助かる。
翁岳水場から栗生岳へ
風がいよいよ強くなってきた。木道を進み、少しすると傾斜もきつくなってきた。雪は締まっていたため歩きやすかった。晴れ間には翁岳や栗生岳の奇岩が見えてくる。このあたりが一番景色に変化を感じられるところであった。朝日と雲が織りなす光の美しさがより一層印象的なものに変えてくれた。
栗生岳の山頂はシンプルな看板があるのみ。天気さえよければ宮之浦岳が見えるはずだ。
栗生岳から宮之浦岳山頂へ
栗生岳から宮之浦岳までは非常に近い。ほんの気持ちだけ下り、最後の登りが始まる。少しだけ山頂が見えた瞬間もあったが、基本的には何も見えない状態のまま進み、気づいたら山頂に到着していた。
山頂はかなり強い風が吹いていたため、15分程度晴れるのを待った。しかし、晴れることはなく、諦めて山頂を後にした。
宮之浦岳から焼野三叉路へ
宮之浦岳の山頂をそのまま通り過ぎるように反対側へと降りる。宮之浦岳へと出る主要な登山道だけあって、これまでよりも一層明瞭な登山道となっている。焼野三叉路はぎりぎり雪の上に出ていた。
焼野三叉路から永田岳へ
天気が悪いので少し迷ったが、せっかくなので焼野三叉路に荷物をデポし、永田岳へと向かった。途中、雲の切れ目から見えた宮之浦岳はやはり格好良かった。
永田岳の道は概ねフラットだったこともあり、とても分かりづらかった。通りそうで通れない、通ってみると明らかに違っているという道が多く、特に帰りは苦労した。ひらけた道が下りに繋がっているが、それは明らかに間違っているため気をつける必要がある。
山頂への道も分かりづらい。見つけたときは少し嬉しくなった。山頂碑は海老の尻尾になっていた。宮之浦岳の山頂よりも風が強くなりやすいようだ。
焼野三叉路から平石岩屋へ
焼野三叉路で荷物を回収し、縄文杉の方向に降りる。少し降りるだけで風はだいぶ避けられるようになった。岩と草とこれらを覆う雪が、荒涼としたあたかも地球ではないかのような光景を作り出していた。やはり景色が見えるだけで気分が大きく変わる。
平石岩屋は分かりやすく看板があった。ただ、どこで寝られるのか、いまいち分からない。
平石岩屋から第2展望台へ
完全に樹林帯に入り、風はもはや脅威ではなくなった。ただ、木の張り出しがひどい。まさか改めてこんなことになるとは想像していなかったため、精神的にかなりつらかった。途中、ザックの正面に取り付けていたスノーシューを落としていたことに気づき、戻るハメになった。テント泊荷物で地面を這いながら進むのは本当につらい。もう絶対に通りたくない場所のひとつとなった。
第2展望台から新高塚小屋へ
まだまだつらいエリアが続く。新高塚小屋が見えたときには本当に嬉しかった。名前上は「新」が付いているものの、中はそこまで綺麗ではない。次の高塚小屋の方がきれい、かつ、快適だ。より山頂に近い分、山頂アタック用として夏はこちらの方が混むのかもしれない。ただ、この日は誰もいなかった。
新高塚小屋から高塚小屋へ
新高塚小屋のベンチで十分な休息を取り、最後の力を振り絞って高塚小屋へと進んだ。この区間は道標がほかよりも多くなっていた。ちゃんと要所に設置されているため、見落とすこともないだろう。
高塚小屋には先客が2組いた。1階と2階の2フロアあり、3組だとかなり広く使えた。
2日目を終えて
風が強く、かなり悩ましい1日となった。日程に余裕があれば停滞日としても良かったように思う。冬山のルートファインディングの経験としてはなかなかに良い経験であったと思う。でも、やはり、奇岩だらけの縦走路を見たかった。山頂からの景色も見てみたかった。
(2日目了)