X

【立山・剱岳】1日目・立山三山を縦走して剱沢へ

データリスト
日程
2015年10月中旬(1泊2日・剱沢キャンプ場
天気
晴れ
コースタイム
6時間 18分(7.4km)
実測タイム
5時間 3分
タイム乖離率
64%
装備
秋山テント泊装備(70L・20kg)+アイゼン、ピッケル、冬靴、要ヘルメット
交通手段
自動車・扇沢登山者用駐車場(無料)

10月になると高い山ではもう秋が終わり、冬の準備がはじまっている。夏山シーズンの締めくくりとして選んだのは立山と剱岳。両山ともう翌週には普通に入ることが難しくなる山だ。ただ、入山できるとはいえ、積雪量は直前にどの程度降るかで大きく変わるし、凍結もある時期であり、状況次第で難しくなるルートになることが予想される。

しかし天気も良さそうであるし、何しろ気持ちが向いてしまったのでもう行くしかない。危なそうだったらそこで中止すれば良いだろうと心に決め、扇沢に向かった。

扇沢から室堂へ

世間的な紅葉シーズンはこれからではあるが、山の紅葉はすっかり終わってしまった後だ。紅葉時期は殺人的な混雑具合をみせる扇沢も人がまばらだ。年間を通して一番少ない時期なのではないかと思わせるほどだ。始発直前に到着するも、さほど並ぶことなく順調に室堂への乗り継ぐことができた。

黒部ダムからは快晴の立山が見られた。気持ちが盛り上がる。

室堂から浄土山へ

今日は室堂から立山縦走路上のすべてのピークを登り、最後は剱沢に下り幕営する予定だ。いつもと比べると閑散とした室堂でゆっくりと準備を終え、まずは浄土山に向かう。

室堂の雪はさほど多くなく、見上げる立山や奥大日岳も雪はあまりなさそうだ。心配なのは凍結ぐらいか。太陽も出ており、気温は低くないはずではあったが、風が強いため体感気温はそれなりに低い。室堂を歩く観光客もみな寒そうだ。

浄土山へは雄山に向かって歩き、途中の分岐を右に曲がり、西側から頂上を目指すこととなる。分岐以降は登山者のみになり、静かに歩くことができる。よく整備された緩やかな階段状の登山道を登山口に向かってゆっくりと上がる。ウォームアップに丁度良い道だ。

この道を上りきると奥には展望台が、そして左手方向に頂上への道が出てくる。形式的にはここが浄土山の登山口という扱いである。展望台からは北アルプスがよく見える。天気が良ければ裏銀座を一望できるだろう。この日は中心に槍ヶ岳を据えた緑と白のコントラストが美しい北アルプスの姿を望むことができた。

登山口からは一転して軽い岩場の道となる。登山口から当面の間は急登になるため、凍結しているような場合にはためらわずにアイゼンをつけると良いだろう。この日は幸い凍結もなく、程よくしまった雪の状態であったため、アイゼンを要することなく快適に歩くことができた。

稜線まで上がると一層風が強くなってきた。フードを立てて、山頂らしき方向に向かう。途中にあるケルンが山頂とされているようだ。

浄土山から一の越山荘へ

浄土山から稜線沿いに進むとひらけた場所に出る。五色ヶ原・薬師岳方向への分岐点である。ここからの雄山と薬師岳方向の景色は素晴らしく、ベンチもあるため、休憩するのであればここまで来てしまった方が良いかもしれない。

浄土山から一の越山荘へは尾根に沿って緩やかに下る。室堂、雷鳥沢、雄山が見える雄大な景色を眺めながら気持ちよく歩ける道だ。

一の越山荘の分岐にはトイレもある。この先も縦走路上にはトイレは点在しているが、時期によっては使用できないため、注意が必要だ。

一の越山荘から雄山へ

一の越山荘からはふたたび人が増える。雪が降った後のこの時期であっても、登山者以外の軽そうな観光客が少なくない。つづら折りに雄山に向かってあがる。時折軽い岩場のような部分があるが、雪が多くついていたり、凍結でもしていたりしない限り、特に危険なところはない。

三の越で一度道が緩やかになり、その後最後の登りをぐっと上がると雄山の山頂だ。雄山の山頂では360度の展望が見られる。あいにくこの日は山頂部分のみ雲がかかってきてしまったため、何も見えなかった。

山頂は細長く、雄山神社と一体になっている。奥に進み、鳥居をくぐり、ひときわ高くなっている部分にあがると山頂碑がある。縦走路は鳥居の手前の脇あたりから出ている。

雄山から大汝山へ

雄山よりも 12m 高い大汝山へは、稜線上を少し歩くとすぐ着く。大汝山が立山で最も高いにもかかわらず雄山が主峰とされている点は興味深い。天気が良ければ雄山からもすぐ近くに見えていることだろう。縦走路上も特に高低差はないため、快適に歩ける。

大汝山から真砂岳へ

大汝山を出て、真砂岳に向かう道は小さなアップダウンが続く。北アルプスのような急峻な縦走路ではなく、どっしりとした尾根を歩く。途中、富士ノ折立と呼ばれる岩場の小ピークがある。縦走する上で通過する必要はないため、天気が良く、元気もあるようであれば登ると良いだろう。岩場ではあるが、岩は大きく、掴みやすいところが多いため、特に問題なく登れるだろう。

雄山では雲に巻かれていたが、このあたりは雲もなく、雷鳥沢を見下ろしながらしばし休憩した。テントが多い時期には色とりどりのテントが映えるはずだ。

富士ノ折立を過ぎ、内蔵助カールとの分岐を過ぎたあたりから縦走路の雰囲気が変わる。石は小さくなり、歩きやすいなだらかな道が真砂岳の山頂まで続く。このあたりの稜線から振り返る雄山は勇壮な姿で格好良い。

真砂岳の山頂は特に大きな山頂碑があるわけではないので山頂で写真を撮りたい人は注意すると良いだろう。

真砂岳から別山へ

真砂岳の下り以降はまた今までの縦走路のような道が続く。別山への道は急登のザレ場となっている。岩はないものの滑りやすい道なので転倒や落石に注意したい。

また、別山を巻いて剱御前小舎に進む場合にはトラバースすることができるが急なトラバースとなるので気をつける必要がある。

縦走路から頭を出し、進むごとに大きく、迫力のある姿になってくる剱岳。別山の山頂からはその全貌が見える。剱沢のカールとあわせて見る剱岳の姿は美しく、そして恐ろしい。

別山から剱御前小舎へ

別山から剱沢に下りる場合、地図をみると、剱御前小舎方向に進んだ後、稜線上からショートカット的に下りられるルートがある。途中、それらしきところを探しながら進むも、結局見つけることはできなかった。少なくともかなりの急坂を下りることになることは間違いなさそうだ。

剱御前小舎への稜線は今までの稜線よりは少し痩せたような道となる。ただ、あまり大きな登り下りもないため、剱岳を見ながら気持ちよく歩くことができる。

剱御前小舎から剱沢キャンプ場へ

剱御前小舎から剱沢キャンプ場へは剱岳に向かって一番右側の道を進む。別山から来た道の稜線をトラバースしながら戻るような道から始まり、途中からカールまで一気に下りる。テントを担いだ身としては帰りのことを思うとため息をつきたくなるような道だ。

剱沢にて

室堂から大回りしてやっとたどり着いた剱沢。テントを担いでのアップダウンはそれなりに疲れがたまる。ただ、剱沢から見上げる剱岳は角度も良く、迫力もある。後悔はない。

この場所は、剱岳が夕日や朝日に染まる姿をみたいと思うのであれば最高の場所だと思う。

ボルダリングができそうな大きな岩の陰にテントを張り、剱岳にかかる雲の変化を見ながら夕食をとる。急峻な山とそれを覆う流れの速い雲の取り合わせは個人的には大好きだ。いつまでも眺めていられる美しさがある。

ただ、見ている分には良いが、登っているときだとたまったものではない。明日こそはきれいに晴れて欲しいと願いながらシュラフにくるまった。

(一日目了)

Comments are closed.