登山をしているとロープで登山道が区切られていたり、場所によっては通行止めになっているようなことがあります。これらは法令によりそのような禁止をしているケースのほか、行政指導により行われている場合もあります。
バリエーションルートや沢登りのようなそもそも登山道がないような道を歩くことはそもそも許されるのか、「何となくみんながやっているから多分問題ないのだろう」「本当はダメでバレないから許されているだけだ」など、色々な意見を見聞きします。
まずは原理原則をしっかりと押さえ、自分がある場所で何かをしたいと思った時に何を確認すれば良いのかを分かるようになることが大切だと思います。
法律の中身にまで踏み込んだ情報はほぼ皆無な状況のため、法令の中身にまでちゃんと見ていこうと思います。
目次
大原則:登山は自由に行える。ただし、法令に違反し、または他人の権利を侵害してはならない。
当たり前かと思いますが、ある行為が自由に行い得るかはそれほど自明ではありません。登山は「憲法上認められている」という論説をネットを中心に見かけますが、登山は憲法上明らかに認められているわけではなく、解釈も分かれています。1
ただ、解釈が分かれているとしても、①憲法13条のいわゆる幸福追求権を根拠とする点、②合理的理由なくして権利を制限できるわけではない、という点は共通しています。
そのため、登山における自由とは、国や地方公共団体等の公権力から理由なく妨げられることがない、というのが保守的な意味での出発点になります。
その理由の代表格が法令による規制です。そのため、法令により登山の一部または全部が規制されている場合、それが過度な規制ではない限りその規制は有効であり、従う必要があります。
そして、法令による規制以外の重要な規制としては、他人の権利を侵害しないということです。これは登山に内在する問題というよりは生活上あらゆることにあてはまる問題です。山を含む土地は誰かが所有しています。誰も所有していない無主物である可能性もありますが、不動産の場合には国庫に帰属することになるため(民法239条2項)、理論上、誰も所有していない不動産は日本には存在しません。
憲法では29条で財産権が保障されています。これを実質的に保障するために、民法や刑法、軽犯罪法等で財産権を保護するような立法がされています。例えば、土地に不法侵入した場合には、民法上、損害賠償請求(民法709条)が請求でき、刑事上、建造物等侵入罪(刑法130条前段)または軽犯罪法1条32号の罪を構成します。
このように、登山する自由が保障されているとしても、完全に自由というわけではありません。法令による規制は受けますし、他人の権利の侵害の問題が生じます。
登山に関する規制
登山に関する規制はいくつかありますが、代表的なものとしては、自然公園法による規制、自然環境保全法による規制、災害対策基本法・活動火山対策特別措置法による規制、遭難防止条例等による規制があります。それぞれどのような規制があるのか確認していきましょう。
自然公園法による規制
自然公園法は、地域の自然環境を守る観点から特別地域(代表的には特別保護地区)、普通地域などを定め、それに合わせた規制がされています。
行こうとしている場所が自然公園法のどの地区にあたるかは個別に各都道府県のページで調査する必要があります。
最も厳格な管理が要求されている特別保護地区における規制は下記の通りです。
一 前条第三項第一号、第二号、第四号から第七号まで、第九号、第十号、第十五号及び第十六号に掲げる行為
二 木竹を損傷すること。
三 木竹を植栽すること。
四 動物を放つこと(家畜の放牧を含む。)。
五 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
六 火入れ又はたき火をすること。
七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
八 木竹以外の植物を植栽し、又は植物の種子をまくこと。
九 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
十 道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十一 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
なお、「前条第三項第一号、第二号、第四号から第七号まで、第九号、第十号、第十五号及び第十六号に掲げる行為」は下記を指します。
一 工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 木竹を伐採すること。
四 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
六 環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
七 広告物その他これに類する物を掲出し、若しくは設置し、又は広告その他これに類するものを工作物等に表示すること。
九 水面を埋め立て、又は干拓すること。
十 土地を開墾しその他土地の形状を変更すること。
十五 屋根、壁面、塀、橋、鉄塔、送水管その他これらに類するものの色彩を変更すること。
十六 湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域内へ当該区域ごとに指定する期間内に立ち入ること。
基本的に立ち入りが禁止されているのは湿原等の指定区域のみであり、その他の地域は立ち入りが禁止されていません。そのため、指定区域以外は自由に歩くことができるというのが原則です。
なお、利用調整地区(自然公園法23条)についても同様の立入制限を設けることができるようになっていますが、完全な利用禁止というわけではなく人数制限などの一定の制限がかかるのみであるため、制限の性質が異なってきます。現在は西大台と知床が指定されており、それぞれ大台ケ原と羅臼岳を登山するときなどに影響が出てきます。
指定区域はどのように確認できるのか?
自然公園法20条1項では「環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風致を維持するため、公園計画に基づいて、その区域(海域を除く。)内に、特別地域を指定することができる。」とされているように、基本的に公園計画において特別地域が設定されることになっています。
ただ、指定区域(湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域)までが公園計画に定められるべきであるかは法文上は明らかではありません。しかしながら、自然公園法においてこの指定による立入り規制が導入された2003年改正の環境省の告示では下記のような説明がされています。
(3) 立入り規制地区の指定に当たっての手続き
① 立入り規制地区の指定は、公園計画に位置付けるとともに、官報に公示して行うこととしている。このため、区域を指定する際には、公園計画の変更として改正法第55条に基づき関係行政機関に協議するものとする。
② 立入り規制地区及び規制を行う期間の指定(区域の拡張及び期間の延長を含む。)に当たっては、関係都道府県及び関係市町村の意見を聴き、同意を得るとともに、その区域内の土地について所有権、地上権又は賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者(以下「土地所有者等」という。)の財産権を尊重し、原則として土地所有者等の同意を得るべきものである。
ただ、実際の公園計画を見ても立入り規制地区に関する記述が見当たらないため、実際には指定されている地区は存在しないのではないかと思っています。例えば、ロープで規制だらけの屋久島国立公園の公園計画も特別保護地区の指定は見られるものの、立入り規制地区に言及するところはありません。
そのため、現在のところ、指定区域を確認する手段としては公園計画を見る、環境省の告示を見るということになりそうですが、指定区域がないため、一覧等で見ることはできない、というのが結論になりそうです。
ちなみに、指定され得る区域として、例示では湿原しか挙がっておりませんが、高山植物等の保護も想定しているようです。湿原という言葉にあまり引きずられない方が良さそうです。
4 特別地域又は特別保護地区における湿原などの環境大臣が指定する区域(以下「立入り規制地区」という。)への立入りの規制(改正法第13条第3項第13号及び第14条第3項第1号関係)
(1) 湿原など、人の立入りにより破壊されやすい脆弱な自然について、立ち入る者によってその貴重な自然が壊されることを防ぐため、環境大臣が指定する区域への人の立入りを新たに許可を受けなければしてはならない行為としたものである。
(2) 立入り規制地区の指定等
① 立入り規制地区の指定は、脆弱な湿原、特異な微地形、重要な野生動植物の生息地又は生育地などにおいて、人の立入り(保護の対象となるものを踏みつける行為。第3.4(2)において以下同じ。)による影響が顕著な場合又は人の立入りによる影響が生じることが十分に予想される場合であって、法に基づく規制以外に保護対策がない場合に行うものである。
立入り規制地区については、特別の事由がない限り、特別保護地区あるいは第1種特別地域に指定されている地域であって、次のいずれかに該当するものを指定するものである。
(a) 自然植生物(高山・亜高山植物群落、風衝地、重要湿地等)
(b) 重要な野生動植物の生息地、生育地又は繁殖地として重要な地域
(c) 地形、地質が特異である地域又は特異な自然現象が生じている地域
なお、引用部分にある条文番号と現行法では、さらなる改正のため異なっていますが、条文の規定自体は同じでした。
特別保護地区におけるロープの意味は何なのか?
アルプスや尾瀬などではよく見かけますが、登山道の脇にロープが張られているかと思います。このロープは指定区域を意味するものではないとすれば、法的には立入禁止を意味するものではないという結論になります。
ただ、「木竹を損傷すること」と「木竹以外の植物を…損傷…すること」が許可を要する行為とされているところ、ロープの張られているところは概ねこれらに該当するものであることから、ロープを超えると禁止行為である木竹、その他植物の損傷を必然的に伴うとして侵入を禁止していると見るのが整合的であるように思います。
簡単に言えば、立入禁止であるわけではなく、禁止行為になるから立入禁止にしているということですね。この違いは、ロープを少し超えたところで写真を撮るような場合に差が出てくるかと思います。
指定区域による立入禁止は侵入自体が違法です。これに対し、上記の理解では禁止行為をしない限りはロープに従う必要はないため、ロープを超えたところに植物等がなく、登山道と何ら異なるところがなければ侵入自体は合法であるはずです。
このような考え方は、数年前に環境省が発表した「国立公園内におけるトレイルランニング大会等の取扱いについて」での考え方とも整合的であるように思います。
第3 大会等の取扱い方針について
1 コース設定における基本的事項
① 特別保護地区においては、法第 21 条第3項の規定により「木竹を損傷すること」及び「木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること」等の行為が厳しく規制されているとおり、特に厳重に景観の維持を図る必要のある地区であるため、これらの行為の発生が懸念される場合は、特別保護地区内を通過するコース設定は避けるよう指導すること。ただし、部分的に特別保護地区を通過する際に、競争性を生じさせない歩行区間の設定等により植生帯への踏み出し及び土壌の浸食を防止するための措置が適切に講じられる等自然環境等への影響が発生しないと考えられる場合は、地域の実情に応じて判断するものとする。
…中略…
2 コース設定における配慮事項
① 走行に対して脆弱な区間(湿原や泥濘の多い湿潤な環境、高山植物群落等)が存在する場所をコースに含めないよう指導すること。
② 踏み荒らしによる歩道の複線化や拡幅が懸念される場所については、登山道外への踏み込み防止柵の設置等によりコースを外させない又は歩道からはみ出させない等の措置を講ずるよう指導すること。
トレランの大会等で特別保護地区を原則としてルートにしないのは主として植物等の保護であり、その懸念がない場合にはこの限りではない、踏み荒らしを避けるために防止柵を設置するなどの考え方は上記の理解とも合っているように思います。
自然環境保全法による規制
自然公園法による規制と比較してあまり議論されることが少ないように思われますが、原生自然環境保全地域については立入制限地区を指定することができる仕組みになっているため、「自然公園法との差異は少なくなっている」と環境省の資料でも評価されています。
立入制限地区が指定可能な原生自然環境保全地域は遠音別岳、十勝川源流部、南硫黄島、大井川源流部、屋久島の5地域のみで現在時点で立入制限地区が指定されているのは南硫黄島のみです。
そのため、規制としては登山に影響しうるものの、現実的には問題のない規制といえるかと思います。
専用のページできれいにまとめられているのは素晴らしいところです。
災害対策基本法・活動火山対策特別措置法による規制
災害対策基本法は火山に特化したものではなく、台風、竜巻など、他の自然災害に関しても適用されます。登山との関係では、警戒区域への立入制限・禁止(災害対策基本法63条1項)が一番大きいところかと思います。
警戒区域の設定者は市町村です。
似たようなものに気象庁が発表する噴火警報があります。こちらの方が見聞きする機会も多く、テレビ等で発表されるのも主としてこちらです。噴火警報自体には登山等を禁止する効果はありません。この噴火警報を元に、市町村が行う警戒区域の設定が入山禁止の根拠となります。
火山で有名な浅間山のある軽井沢町では下記のような案内を出しています。
参考: 軽井沢町 – 浅間山噴火予報・噴火警報(レベル2→1)
軽井沢町を含む浅間周辺の市町村では、火山活動による危険を防止するため、災害対策基本法の規定に基づき、火口から半径4キロメートル以内を警戒区域として設定して、立ち入りを禁止しています。ただし、噴火警戒レベルが「1(活火山であることに留意)」及び「2(火口周辺規制)」のとき、軽井沢町側では、小浅間山と石尊山への登山道のみ立ち入りを認めています。それ以外の部分については、立入禁止となっていますので、危険防止のため、絶対に守ってください。
これはあくまでも軽井沢町側の警戒区域に関するものであるため、関係する市町村の警戒区域も確認する必要があります。
活動火山対策特別措置法は努力義務のみ
法律自体は古くからありますが、2014年の御嶽山の噴火を受けて改正されました。改正された条項は、「登山者等は、その立ち入ろうとする火山の爆発のおそれに関する情報の収集、関係者との連絡手段の確保その他の火山現象の発生時における円滑かつ迅速な避難のために必要な手段を講ずるよう努めるものとする。」(活動火山対策特別措置法11条2項)という内容の努力義務を定めるものです。
努力義務のため、たとえ登山者が火山情報を収集せずに登山をはじめたとしても違法とされることはありません。ただ、違法にはならないものの、登山者のマナーというようなレベルではなく、登山者であればしなくてはならないことであることには違いありません。ちゃんと活火山に登山に行く時には事前にその山の活動状況を調べてから行くようにしましょう。
ちなみに、気象庁の噴火警報・予報が一番確実な情報ソースです。
遭難防止条例等による規制
登山届の義務化が中心ですが、登山自体を禁止する条例もあります。有名なところでは、谷川岳一帯の「群馬県谷川岳遭難防止条例」があります。
この条例では、12月1日から翌年2月末日までを冬山の期間と設定し、一部の危険地区での登山をしないよう努力義務を設定しています(6条)。努力義務のため、この期間に危険地区で登山をしたとしても条例違反にはなりません。ただ、何らかの危険にさらされたときに様々な批判を受けることは間違いないでしょう。もしかすると保険請求する際にも何らかの悪影響があるかもしれません。
また、冬山の期間以外も天候が著しく悪い場合などの一定の条件がある場合には危険地区の一部又は全部の登山を禁止することができるとされています(7条)。これは法的な義務であるため、違反すると罰金刑(3万円以下)が課されます(14条1号)。
マイカー規制は?
アルプスを中心にマイカー規制もありますが、これは林道における自家用の車両の通行を禁止するのみであり、登山自体を禁止するものではありません。そのため、林道を歩く分にはまったく問題ありませんし、登山自体は何ら規制されていません。
富士山や屋久島の協力金は?
富士山や屋久島では、登山者に協力金として1,000円から2,000円程度の支払を求めています。それぞれ、「山梨県富士山保全協力金基金条例」「世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金条例」に基づくものではありますが、これらは完全に任意です。支払わないと登れないという性質は一切ありません。
伊吹山でも2017年11月から本格導入され、妙高山・火打山もちょうど先月2018年11月から実証実験が始まりました。これらも協力金のため、特に登山禁止の効果はありません。
大山の剣ヶ峰への縦走禁止は?
鳥取にある百名山で中国地方の最高峰でもある大山では山体崩壊が著しく滑落の危険性が高いことから、最高峰の剣ヶ峰への縦走を禁止しています。ただ、この規制は鳥取県警と大山遭難防止協会の要請によるもので法令の根拠がない行政指導です。そのため、法的にはこれに従う義務はありません。従うか従わないかは単に登山者としての倫理の問題です。
他人の権利の侵害
原則として、他人の土地を通行するには土地の所有者の承諾が必要です。持ち主が国や地方公共団体の場合と私人(個人や民間企業)の場合とに分けて見ていきましょう。
所有者が国・地方公共団体の場合
所有者が国・地方公共団体の場合、所有者として立入が禁止されておらず、そして、法令の規制がない限り、問題なく通行できます。公権力は、国民の登山する権利を尊重する必要があるため、禁止する合理的理由がない限りは規制ができないからです。
なお、国有林の場合には森林法など、他の法規制も絡むため少し特殊です。ただ、登山道を歩く限りでは入林届等の手続は不要とされています。
参考: 国有林への入林
所有者が私人の場合
私人の場合、自分の財産である土地を自由に処分できるため、他人の登山のために土地を開放する義務はありません。
ただ、山の土地などは通路等が設定されている限り、所有者が暗黙的(黙示的)に同意しているとして、違法ではないと解しているケースがほとんどかと思います。
明確に禁止が意思表示されている場合は「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」として軽犯罪法違反になります。もちろん、民事上も違法となるため、不法行為を構成します。2
たとえば、両神山の白井差ルートは私道を通るもので所有者の許可制になっています。これを無視して入った場合も当然違法です。
登山道以外の登山はどうなるのか?
基本的な発想は登山道での行動と変わりありません。ただ、自然公園法における特別区域では一定の植物の損傷等が違法行為とされているため、それをしない限りは問題ありません。特別保護地区では木竹の損傷も許されないため、事実上、藪漕ぎを伴うような登山は適法に行えないと思います。
そのため、藪漕ぎを伴うようなバリエーションルートや沢登り等に行く場合にはまず登ろうとしているルートが自然公園法上どのように位置付けられているかを確認し、そこが特別保護地区であれば控えるのが適当だと思います。ただ、特別保護地区でも木竹の損傷のおそれがないことが分かっているようなルートであれば問題はないはずです。
冬山登山やバックカントリースキーはどうなるのか?
冬山登山やバックカントリースキーの場合には雪が十分にあるときは植物の損傷もないため、登山道以外を進んでも問題ないはずです(そもそも登山道がどこかわからないことも少なくありませんが…)。ただ、雪が薄く、植生に影響を与えそうなところでは夏山同様、登山道のみを歩くべきかと思います。
法的に問題ないなら何をしても良いというわけではない
以上、登山における立入禁止を法文を中心に確認していきました。法的に違法と評価される行為は当然行うべきでありませんが、違法でないと評価できる場合であっても、それが倫理的に妥当ではなければ行うべきではない場合もあります。特に周りに迷惑をかけるような状況(大山のように山体崩壊で落石をしやすいなど)では、本当にそのような迷惑をかけてまでやりたいことを貫くべきかを考える必要があると思います。
また、登山に関する法律問題に興味があれば、下記の本はオススメです。新書ということもあり記述もあっさりとしていますが問題の所在をつかむには十分です。定期的にセールもやっているので50%オフのときを狙いましょう。
- 学説の詳細については、竹内友紀子「自己決定権は,裁判官の恣意を生むのか」(名古屋ロー・レビュー 第3号、2011年9月)参照 ↩
- 通り抜けのみの場合、何らの財産の破壊を伴わない場合には損害として構成できるのは慰謝料しか存在しません。利用時間もごく短いため、非常に低廉な額しか認められないでしょう。 ↩