雪山では履くことの多いアイゼン。アイゼンでの基本的な歩き方などは本やネットでいくらでも情報が出てくると思いますが、実際に歩いているときにどのようなことに気をつけると良いのかということはあまり見かけない気がします。なので、私の今までの経験から気づいたこと、気をつけていることなどを記事にしてみようと思います。
目次
アイゼンをつけているときにありがちなこと
アイゼンを付けると、締まった雪や凍った道であれば爪が刺さることで滑らなくなるため、歩きやすくなります。ただ、爪が出ている分、それが木の根や岩に引っかかることによる転倒、反対側の足にあたることによるウェアの損傷や怪我ということが起こりやすくなります。
また、特に下りで起こるのが、足をフラットにしか置きづらいことによる問題。たとえば、普通の登山靴であれば踵だけが岩に乗っかっているような状態は問題なく作れますが、アイゼンをつけている場合には前につんのめってしまいやすいということがあります。
前爪もかかっていれば問題ないのですが、前爪が下に落ちると傾いてしまい、そのまま前に落ちてしまうことがあります。落ちないにしても変な体勢になり、足を痛めるようなこともあるため、これも注意が必要な累計であると思っています。
気をつけるべき状況
問題が起こりそうな場面は大体決まっています。これらの状況では特に気をつけています。
狭いところを歩く場合
足を一歩前に踏み出す場合、反対側の足の近くを通るときに問題が発生しやすくなります。道が狭いところは分かりやすいですが、石や雪の塊などがあることである一歩だけが踏み出しづらいこともあります。
対処法
足が交錯することのないよう、ゆっくり通す、しゃくとり虫のような動きで通過するようにしています。
片足を大きく下に下ろした場合
下山時にまずは片足を大きく下ろすことがあるかと思います。そのときに山側(高い側)の足を下ろすときに爪がひっかかりやすいため、注意が必要です。
対処法
山側の足を下ろすときに少し持ち上げる感覚で下ろします。そのため、アイゼンをつけていない場合よりも許容する落差を少なめにするよう、意識しておくと良いかと思います。
斜度のある新雪部分に足を下ろすとき
それなりに傾斜のある斜面に踏み出す場合、そこが見た目の斜度以上になっていることがあったり、岩が隠れていて思ったように足が置けないことがあります。そのような場合にバランスを崩し、前に倒れたそうになることがあります。斜面が踏み固められていたり、岩が露出しているようなところは特に問題ありませんが、特に岩が混じる環境で斜面に足を下ろす場合には注意が必要です。
対処法
踏み出すときに体重を前にかけず、山側の足に残した状態で足を下ろすようにします。そうすることで前に倒れるリスクを低減できます。
基本動作の習慣化が大切
その他、アイゼンをつけている状況ではいつでも転倒するリスクを抱えています。そして、特に意識しなくても、99% 以上は問題が発生しないでしょう。山で歩く数千歩のうち、転倒したりするのはせいぜい数歩だと思います。その数歩を限りなくゼロにするためには習慣化が大切であると思っています。
私はアイゼンをつけているときには以下のふたつを特に気をつけており、習慣化するまで繰り返すようにしていました。今では特に意識しなくても勝手にそのような動きになるため、集中力を使ってしまうようなこともありません。
- 足を引きずらない ➔ アイゼンが引っかかるリスクを減らすため
- 足を開きめに歩く ➔ アイゼンが足にあたるリスクを減らすため
これは一朝一夕では身につきにくいため、はじめのうちは繰り返し思い出すようにし、当たり前の行動になるまで反復し続けると良いと思います。
参考までに私の場合、この程度は開いて歩いているというのを動画化してみました。
まとめ
アイゼンをつけているときには、転倒等しやすい状況で特に注意する、そして常に気をつけなければならない事項については習慣化することが大事だと思っています。
特に気をつけるべき状況は、基本的に下りの場面に集中していると思います。アイゼンに慣れていない方はぜひ頭の片隅にでも入れておいてください。