屋久島1日目カバー写真

【雪の屋久島・宮之浦岳】1日目・美しい花之江河を抜け、黒味岳を登り、投石平へ

データリスト
日程
2015年1月上旬(2泊3日・ビパーク/高塚小屋)
天気
曇り
コースタイム
4時間 15分(7.3km)
実測タイム
3時間 45分
タイム乖離率
106%
装備
厳冬期フル装備(80L・25kg)
交通手段
公共バス

年末の大雪の中に登り、敗退した中央アルプスの山々の山行を終え、年明けの連休に目をつけたのは屋久島。一年前の年末年始に九州の山々を登り歩き、九州の百名山は屋久島の宮之浦岳を残すだけとなった。宮之浦岳は奥深くにあるため、たどり着くのも大変だが、充実した縦走が楽しめる。事前の天気予報では悪くなさそうな日程であったが、残念ながら縦走の初日はあいにくの曇り空となってしまった。

1日に2本しかないバスの最終便に乗り、紀元杉まで来た。少しぐらいは登山者がいるかもしれないと予想していたが、バスの中ではただ一人。バスを降りると圏外のため、歩く以外に戻る方法もない。気持ちが高揚してくる。

紀元杉バス停から淀川登山口へ

紀元杉

冬に限らず、淀川登山口までの公共バスはない。紀元杉でバスを降り、奥に向かって緩やかな上り坂となっている舗装路を歩く。凍結を心配していたが、問題になる場所はなかった。くねくねした道をただ黙々と歩く。ちょうど良いウォーミングアップだ。

淀川登山口には公衆トイレがあり、年間を通じて開放されているようだ。ここで改めて準備を整える。

淀川登山口から淀川小屋へ

淀川登山口の案内板

ここから縦走がはじまる。階段を登るとすぐ土の道となり、屋久島らしい鬱蒼とした樹林帯が続く。ほぼ登りはなく、気持ちよい樹林帯歩きが楽しめる。淀川小屋にはほぼコースタイム通りの時間で到着した。中は綺麗で日程に余裕があればここで一泊していくのも良さそうだ。

踏み跡があったため、ここには人がいるかと思っていたが、誰もいなかった。入ったのは別の日だったようだ。

淀川小屋から高盤岳展望台へ

高盤岳展望所からの高盤岳

淀川小屋から先も道はさほどきつくない。心配していた雪や凍結もほぼなく、ツボ足のまま快適に歩けた。基本的には樹林帯で展望がないため、黙々と歩くだけであるが、途中の展望台からは豆腐が乗っているように見える高盤岳を木々の間から望むことができる。展望台は登山道沿いに看板もあるため、問題なく気づくと思う。


高盤岳展望台から花之江河へ

展望台から 10分ほど行くとまた展望所があり、さらにそこから 5分ほどで小花之江河に到着する。展望所からは先ほど見えた高盤岳のほか、縦走路沿いの山々が見える。冬でも鬱蒼と生い茂る木々が印象的であった。この日は強風で長くいられなかったが、天候がよければゆっくりしたくなるポイントだ。

小花之江河から花之江河の間は木道の上を歩く。先ほどまでの木に囲まれた空間から一気に開けたところに出るため、とても気持ちが良い。天気がよければもっと遠くの山まで見えそうであった。

花之江河から黒味岳分岐へ

花之江河から右手方向に進路を取り、黒味岳方面に向かう。分岐までの道は少し登る程度で大変な要素はないはずであったが、このあたりから枝の張り出しが酷くなり、回避するのに苦労させられた。自分より頭ひとつ分は上に伸びたザックと後ろに括りつけたスノーシューが引っかからないように注意しながら進む。黒味岳分岐はとてもわかりやすい道標が立っている。

黒味岳分岐から黒味岳へ

黒味岳山頂

分岐に荷物をデポし、手ぶらになって黒味岳を目指す。歩いてすぐロープが続く急な道が続く。雪は付いていたものの特にアイゼン等も必要のない程度だったが下るときは少し怖かった。ロープが終わると、木の高さがぐんと下がり、比較的快適な登山道となる。黒味岳は正面に見えているため場所はわかりやすいものの、頂上にあがるところがわかりづらかった。

山頂は大きな岩で、小さな標が岩に据え付けられている。天気さえよければ景色も良さそうだった。

黒味岳分岐から投石岩屋へ

投石平付近

黒味岳で遠くが見えないかと少し待つものの晴れ間の見える気配もないため諦めて分岐まで戻った。分岐から改めて重い荷物を背負い歩き始めた。今思うと、ここから投石平までが今回の縦走で一番苦しいエリアだった。

登山道自体は特に厳しくない。ただ、枝の張り出しが著しく、まともに歩くことができない。しゃがみ、ときには這って進まざるを得なかった。時間は 30分程度と短かったものの、帰ろうかなと思うほどの道だった。

投石平は花之江河のように開けたところであるが、巨石が多く不思議な雰囲気をもった場所だった。このあたりまで来ると木々も白く、樹氷のようになっており美しい景色がみられた。

投石岩屋はビパークができる場所であるが、要はただの巨石だ。ただ、少し奥まったところにあるため、風も強く吹くこともなさそうなので、特に雨が降っているときには利用する価値がありそうだ。

1日目を終えて

鬱蒼とした木々や大きな杉の木、少し変わった石が多かったりとなかなか本州では見られない景色を見ながらの縦走となって楽しい。誰と会うこともなかったのが意外ではあったが、山の中に完全にひとりだけの世界が広がっているように感じられて、不安と興奮とが入り混じるこれまた楽しい時間であった。投石岩屋の少し先でかなり暗くなってきたため、登山道脇のスペースにテントを張り、ビパークすることにした。当時は投石岩屋がビパーク向けの場所ということに気がつかなかったため失敗したが、朝焼けに染まる雲を見ながらの朝ごはんの時間は素晴らしかったので結果的には悪くなかったように思う。ただ、風が強く、夜に何度も起こされたため、安眠するならやはり投石岩屋の方が良さそうだ。

(1日目了)

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