- 日程
- 2015年10月中旬(1泊2日・剱沢キャンプ場
- 天気
- 晴れ
- コースタイム
- 8時間 37分(10.1km)
- 実測タイム
- 6時間 49分
- タイム乖離率
- 71%
- 装備
- 秋山テント泊装備(70L・20kg)+アイゼン、ピッケル、冬靴、要ヘルメット
- 交通手段
- 自動車・扇沢登山者用駐車場(無料)
夜は少し風が強かったが、朝になるとほぼ無風の状態であった。さすがに10月となるとそれなりに冷え込む。テントから顔を出し、空を仰ぎ見る。星がとてもきれいだ。秋の空は正座が分からないが、分かったとしても目当ての星を探すのが大変な程度には満点の星空だった。ヘッドランプをつけ、寝袋にくるまったままもそもそと動き出し、テントの中で朝食をとった。登るには最高の天気だ。気持ちがはやる。
目次
剱沢キャンプ場から剣山荘へ
剱沢のキャンプ場から剣山荘へは剱澤小屋の少し手前を左方向に下る。しばらく岩交じりの道を剣山荘に向かってまっすぐ進む。最後はハイマツの間を通り、剣山荘に出る。ウォーミングアップにはちょうど良い道だ。
ここから剱岳がはじまる。
剣山荘から一服剱へ
剣山荘から10分ほど登ると岩場がはじまり、まもなく1番鎖が登場する。はじめの方の鎖は必要性を感じない程度の斜度だ。岩も掴みやすいものが多いため、握力を温存するためにも鎖に頼らず進む方が良いだろう。
2番鎖はトラバース。左手は添えるだけ。足場もしっかりしているため、これも難なく進めるだろう。もしここまでで恐怖を感じるようであれば引き返した方が良い。
岩にペイントされている丸や矢印に従いピークまであがると一服剱だ。
一服剱から前剱へ
一服剱からは前剱へは少し下った後、ガレた道を登る。3番鎖までの斜面はそれなりに急であるにも関わらず浮石が多いため、落石に注意が必要だ。落とされるだけでなく、落として怪我をさせるおそれもあるため、パーティーで行く場合にも適度な距離感を保つ方が良いだろう。
30分程度岩場を進むと3番鎖が登場する。これまでよりは斜度が出てくるが、岩も掴みやすく、足場も大きいのでここもなるべく鎖に頼らず登りたい。この鎖は少し長いので落ち着いてゆっくり登ろう。
鎖を登りきり、少し進むとすぐに 4番鎖が出てくる。ここは短いトラバースの鎖だ。下が切れ落ちているため、高所恐怖症だと少しつらいかもしれない。
鎖を終えて、ピークまで登り詰めると前剱だ。前剱からの剱岳の景色が素晴らしいことは言うまでもないが、立山側の景色も素晴らしい。晴れれば素晴らしい大パノラマが待っている。これからがいよいよ剱岳の核心部だ。
前剱から剱岳山頂へ
前剱からは少しトラバースの道を進み、5番鎖へコルへと降りる。長くて急な鎖なので慎重に進みたい。
降りた後もトラバースと下りの鎖が続く。このあたりで一部の鎖が雪の下に埋まってしまっていたため非常に怖い思いをした。一瞬引き返そうかとも思ったが、戻るにも怖いところまで来てしまったのでそのまま進むことにした。
下りを終えると少し穏やかな道が続く。奥に見えてくる壁のような岩場が核心部だ。
まずは平蔵のコルの 8番鎖をあがる。角度も高度感も出てくるため、少なくとも片手は鎖を持っておくと安心感がある。平蔵のコルを越えて、切れ落ちたトラバースを少し進むとカニのたてばいの 9番鎖が登場する。カニのたてばいはほぼ垂直に近いように感じられるが、鎖だけでなく、杭もあるため、登る分には何てことない。ただ、高度感があるため、下はあまり見ない方が良いかもしれない。
鎖場を終えると、あとは岩場を登り詰めるのみ。山頂は広く、雄大な景色を満喫できる。この日はちょうど貸切。ゆっくりと昼食をとりながら、剱岳からの景色を存分に楽しんだ。
剱岳山頂から平蔵の頭へ
名残惜しい気持ちをぐっと押さえて下りへと気持ちを切り替える。山頂直後のカニのよこばいはいきなりの核心部となるため、緩めた緊張感をしっかりと呼び戻す必要がある。
カニのよこばいの導入は簡単だ。これなら余裕だろうと思わせられる。しかし、いきなり足場が見えないような部分が出てくる。ここが核心部だ。上からは見えないところに足場があるため、思い切って進むしかない。長い渋滞が発生するのも無理はない。少し逡巡した後、思い切って足を伸ばす。少しバランスを崩し、この日はじめて鎖に全体重を預けてしまった。これは怖い。この先は高度感はあるものの、何てことのない下りが続く。
一服劔までの下りは基本的に上り側と別ルートになる。上りは信州側を、下りは富山側を進む。要は右側通行だ。平蔵のコルの下りは共用のため、ここも渋滞ポイントとなりそうだ。平蔵のコルを降りて、前剱の方を見るとその険しさに驚く。平蔵のコルの鎖を登ると休憩適地だ。
平蔵の頭から一服剱へ
平蔵の頭からは前剱へと下りが続く。富山側を進む復路では前剱は登らず、巻くことになる。そのまま下り続け、少し登り返すと一服剱に到着する。ここまでくれば安心。あとは気を抜かない程度の緊張感を持って下るだけだ。
一服剱から剱沢キャンプ場へ
一服剱から剱沢キャンプ場へは来た道をそのまま戻る。剱岳の鋭い岩稜から一転、剱沢の雄大なカールを見ながら、心地よい疲労感とともにキャンプ場へと歩みを進める。
キャンプ場でテントを撤収し、剱御前小舎へと登る。剱御前小舎までの道は地味な急登が続く。下からは剱御前小舎は見えないため、一番低いコルの部分を目指して進むと良い。
剱御前小舎から室堂へ
剱御前小舎から室堂へは雷鳥沢キャンプ場を経由する。歩きやすい登山道を立山の雄大な景色を見ながら下りる。雷鳥沢キャンプ場へは一度沢まで降りて少し登り返す。
雷鳥沢キャンプ場は広い。しかもすべて平地のため環境も良い。室堂からも近い。人気なのも当然だろう。
雷鳥沢キャンプ場から、急な階段を登り、みくりが池を経由して室堂に向かう。みくりが池まで来ると観光客でいっぱいだ。剱岳の静けさが嘘のようだ。この日のみくりが池はとても美しく、逆さ立山が見られた。やはり室堂への道はみくりが池経由が一番良いと思う。
室堂からは大きな荷物に視線を集めながらゆっくりと扇沢へと帰った。疲れた身体に乗り継ぎはつらい。立山はこれさえ無ければ、、、とついつい思ってしまう。
山行を終えて
少し博打的な要素はあったものの、結果的には大きな問題はない山行を楽しめた。ただ、天気の良さに助けられた部分もあるため、この時期に行く場合には撤退を視野に入れて行くべきだろう。また、この時期は雪がまだまだ少なく、むしろ凍結の方が多いため、長い爪のアイゼンよりもチェーンスパイクの方が適していたように思う。理想的には両方持って行くのが良いだろう。
- 景色
- さすが剱と思わせる岩稜帯
- 立山と剱岳という対照的な山を同時に楽しめる
- 状況に応じたルート選択ができる
- アクセスの大変さ
- 難易度が天候等で大きく左右される
- 人が多い場合には時間が読めなくなる